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TOB(株式公開買付け)の規制とは?主なルールや改正内容などを解説

公開日:2026年03月03日

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更新日:2026年03月03日

    公開買付規制とは、TOB(株式公開買付け)を通じた株式の大量取得について、株主保護と市場の透明性・公正性を確保するために設けられた制度です。

    上場会社等有価証券報告書を提出しなければならない発行者(上場会社等)の株式取得は、経営権や株価に影響を与える可能性があるため、取得方法や取得割合等が一定の要件に該当する場合、公開買付の実施や厳格な情報開示が求められることがあります。

    本記事では、公開買付規制の基本的な仕組みから主要なルール、2026年5月施行の改正内容、違反した場合の罰則までを体系的に解説します。

    金融商品取引法に基づくルールを正しく理解することは、法令遵守と適切な意思決定につながるでしょう。M&Aや資本政策に関わる企業担当者や投資に関心のある方は、ぜひ最後までご覧ください。

    1.公開買付規制とは?

    公開買付規制とは、特定の株主だけでなく、市場全体に対して公平な条件で株式を取得させるため、TOB(株式公開買付け)の方法や手続きを法律で定めたルールです。

    TOBは、証券取引所を通さずに不特定多数の株主から株式を買い集める仕組みで、短期間に大量の株式取得ができます。

    金融商品取引法では、取得割合や取得方法等が法定の要件に該当する場合、公開買付の実施が義務付けられるとされています。これらの規制は、株主の公平な判断機会の確保が目的です。

    公開買付規制は、少数株主の保護と資本市場の公正性の維持に必要です。

    1-1.特別関係者概念について

    公開買付規制では、買付者本人だけでなく、特別関係者が行う株式取得も合算して判断されます。特別関係者とは、買付者と実質的に同一の意思で行動していると認められる者を指し、実質基準と形式基準の2つの考え方で整理されています。

    実質基準が重視するのは、買付者との間での共同買付け・相互譲渡・議決権行使の合意など、実態として共同で株式取得を行っているかどうかです。一方で形式基準は、買付者との親子会社関係や役員の兼任など、外形的な事実に基づいて判断されます。

    特別関係者概念を設けることで、名義を分散させた取得による規制逃れを防ぎ、公開買付規制の潜脱防止および、制度の実効性を確保できるでしょう。[参考1]

    2.主な公開買付規制

    公開買付規制には、株式の大量取得によって市場の透明性・公正性や株主の利益が損なわれることを防ぐため、いくつかの重要なルールが設けられています。取得割合や取得方法に応じてTOBの実施が義務付けられるため、それぞれの規制内容を正しく理解することが不可欠です。

    本章では、代表的な公開買付規制について解説します。

    項目

    5%ルール

    3分の1ルール

    規制趣旨

    短期間の大量取得による市場混乱防止

    経営支配に影響する株式取得時の株主保護

    基準となる割合

    株式保有割合が5%以上

    議決権保有割合が3分の1以上

    規制の要件

    61日間

    特定の期間制限なし

    相手方の人数

    10人以上

    人数要件なし

    TOBの要否

    要件該当時は原則TOBが必要

    要件該当時は原則TOBが必要

    2-1.5%ルール

    主な公開買付規制に、5%ルールがあります。いわゆる5%ルールとは、上場会社等の株式について、市場外取引等により一定期間内に多数の株主から取得し、その結果保有割合が5%を超える場合には、原則として公開買付による取得が求められる規制です。

    短期間での大量取得により株価形成や経営に影響を与えることを防ぐ目的があります。具体的には、61日間に行う買付け等の相手方の合計が10人を超えて市場外で株式を取得し、保有割合が5%を超える場合が対象となります。

    一方で、証券取引所を通じた市場内取引や、相続・合併などの包括承継による取得は原則として対象外です。

    2-2.3分の1ルール

    主な公開買付規制として、3分の1ルールも挙げられます。3分の1ルールとは、TOBを行わずに株式を取得した結果、議決権保有割合が3分の1を超える場合には、取得方法等に応じて、原則として公開買付が義務付けられるという規制です。

    議決権の3分の1超は、株主総会の特別決議に影響を与え得る水準で、経営支配に重大な影響を及ぼすと考えられています。市場外取引などを通じて、議決権保有割合が3分の1に達する場合は、すべての株主に平等な売却機会を与えることが必要です。

    なお、既に3分の1を超えて保有している者が、市場外で新たに1株でも買い付ける場合も、このルールの対象となる点に注意が必要です。

    3分の1ルールでは、買付価格や期間、予定取得数などを事前に開示したうえで、TOBの実施が求められます。なお、証券取引所での通常の市場内取引によって段階的に取得した場合などは、原則として本ルールの適用対象外となります。ただし「急速な買付け」のように市場内外の取引を組み合わせて短期間に大量の株式を取得する場合には、規制の対象となることがあるため注意しましょう。

    3分の1ルールは、支配権移動の過程における株主保護を目的とした重要なルールです。

    2-3.その他のルール

    公開買付規制には、5%ルールや3分の1ルール以外にも、複数の細かなルールが定められています。代表例は、以下のとおりです。

    • 公開買付期間は原則20営業日以上60営業日以内とする

    • すべての応募株主に同一条件を適用する

    • 買付予定数を超えた場合には按分比例で取得する 

    • 買付後の株式所有割合が3分の2以上の場合、応募株式全部を買付ける義務が生じる

    ルールにより、特定の株主のみを優遇する行為が防止されます。一方で、自己株式取得や組織再編行為に伴う取得など、性質上TOBに馴染まない取引については対象外とされるケースもあるため、注意しましょう。

    3.2026年5月に施行される改正内容

    2026年5月1日から、TOBに関する規制が大きく見直されます。主に、TOBの義務基準の見直しや規制対象範囲の拡大が行われ、公開買付制度の透明性と株主保護の強化が図られます。本章では、改正による主要な変更点を見ていきましょう。

    3-1.公開買付義務の基準が議決権の3分の1から30%に引き下げ

    2026年5月に施行される改正では、TOBの義務基準となる議決権保有割合の閾値が、従来の3分の1(約33.3%)から、30%に引き下げられます。

    30%ルールは、株式の支配権行使に実質的な影響を与える水準として見直されたものです。なお、一定以上の議決権保有割合に達した場合、TOBの実施が義務付けられる点は、従来と同様です。

    改正後は、市場内取引による取得でも、一定の場合には公開買付規制の対象となることが想定されています。

    30%という水準は、日本の上場企業における議決権行使動向や海外制度の水準を踏まえて設定されたもので、株主の公平な情報提供と意思決定機会の確保を意図した改正です。

    なお、上記の改正は2026年5月1日以降に公開買付開始公告が行われた場合に適用されます。

    3-2.3分の1ルールの対象外となる僅少買付け等の新設

    改正後の公開買付制度では、30%ルールの適用対象から除外される「僅少買付け等」の基準も整備されます。

    具体的には、株式の保有割合がすでに30%を超えている者が追加で行う買付けについて、当該買付け等による増加分が0.5%未満であり、直近6か月間において買付け等を行っておらず、当該買付け等の後における当該株式の保有割合が3分の2以上とならない場合、30%ルールの対象外となります。極めて小規模な取引が公開買付義務の対象となることを避け、制度の実効性と過度な規制負担の回避を図るためです。

    僅少買付け等の基準は、買付け等により増加する所有割合がごくわずかである取引について、公開買付け義務の適用除外を明確にします。

    一方で、過去6か月間に他の買付け等を行っている場合などは、除外基準の適用が制限されるため、実務対応時には注意しなければいけません。[参考2][参考3]

    4.公開買付規制に違反した場合の罰則

    公開買付規制に違反した場合、金融商品取引法に基づき、刑事罰や行政上の措置(課徴金)が科されます。具体的には、公開買付義務があるにもかかわらずTOBを実施せずに株式を取得した場合や、虚偽の記載を含む公開買付届出書を提出した場合などが対象です。

    公開買付規制に違反した場合、違反内容に応じて、課徴金納付命令などの行政上措置や、刑事罰の対象になる可能性があります。

    5.公開買付規制に関するリサーチは「Legalscape」にお任せ

    公開買付規制とは、TOBによる株式の大量取得が株主の利益や市場の透明性・公正性を損なわないよう、情報開示等のプロセスを厳格に定めた制度です。

    5%ルールや3分の1ルールのほか、2026年5月施行の改正内容まで正確に把握するには、金融商品取引法やガイドライン、解説資料を横断的に確認する必要があります。

    Legalscapeを活用すると、知りたい法情報を検索するだけで要点を瞬時に把握できます。過去のリサーチ内容の共有や原典への遡及も容易になるため、公開買付規制に関する実務対応も効率的に進められるでしょう。

    Legalscapeについて興味のある方は、ぜひ、以下よりお試しください。


    なお、本記事は一般的情報であり、特定の事案への法的助言ではありません。

    参考1:公開買付制度等に係る討議資料(2)|金融庁

    参考2:金融商品取引法及び投資信託及び投資法人に関する法律の一部を改正する法律|金融庁

    参考3:金融商品取引法及び投資信託及び投資法人に関する法律の一部を改正する法律の一部の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令|金融庁

    監修者

    吉田 修平

    株式会社Legalscape コーポレート本部法務 Legal Counsel / 弁護士

    2017年に弁護士登録後、インハウスローヤーに転身。金融機関で銀行法務・新規事業開発に携わり、WeWork Japan にてビジネス法務・コンプライアンス体制構築を主導。2024年3月Legalscapeに入社。法務コンプライアンスの知見をプロダクト開発に活かし、リーガルイノベーションの最前線を支える。

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