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取適法(旧下請法)対象となる製造委託とは?4類型と該当しないケースを解説

    公開日:2026年03月30日

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    更新日:2026年03月30日

      中小受託取引適正化法(以下、取適法)の対象となる製造委託には、4つの類型があります。なお、「自社で製造していない自社利用物品の製造を委託する場合」など、製造委託に該当しないケースもあります。

      他の事業者に委託するときに「この依頼は取適法の対象となるのだろうか?」と、悩む方もいらっしゃるでしょう。

      本記事では、4つの類型と該当しないケースについて、具体例を挙げながら解説していますので、参考にしてみてください。

      なお、2025年5月16日に国会で成立し、同月23日に公布された改正法が、2026年1月1日より施行されました。法律の名称も「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律(略称:中小受託取引適正化法/通称:取適法)」へと改められました。

      詳しくは以下の記事でご確認ください。

      関連記事:2026年1月施行!下請法改正法のポイントをわかりやすく解説

      1.取適法の対象となる製造委託とは?

      取適法は、下請取引における取引条件の適正化を図り、中小受託事業者の利益を保護することを目的とする法律です。取適法の適用範囲は「取引当事者の資本金と従業員数の区分」と「取引の内容」の2つの条件で定められています。

      「取引の内容」には、製造委託・修理委託・情報成果物作成委託・役務提供委託・特定運送委託の5類型があり、製造委託は特に多くの取引に適用される典型的な類型です。なお、特定運送委託は取適法への改正において追加された類型です(取適法第2条第5項)。[参考1]

      取適法における「製造委託」は、以下のように定義されています。

      第2条 「製造委託」とは、事業者が業として行う販売若しくは業として請け負う製造(加工を含む。以下同じ。)の目的物たる物品若しくはその半製品、部品、附属品若しくは原材料若しくは専らこれらの製造に用いる金型、木型その他の物品の成形用の型若しくは工作物保持具その他の特殊な工具又は業として行う物品の修理に必要な部品若しくは原材料の製造を他の事業者に委託すること及び事業者がその使用し又は消費する物品の製造を業として行う場合にその物品若しくはその半製品、部品、附属品若しくは原材料又は専らこれらの製造に用いる当該型若しくは工具の製造を他の事業者に委託することをいう。

      引用:製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律 第2条 | e-Gov 法令検索

      「業として」とは、ある行為が反復継続的に行われ、委託事業者の「仕事」として遂行されることを指します。単発の行為ではなく、販売や製造を事業として行っていることが前提です。

      「委託」とは、委託事業者が、製造を依頼する物品の仕様、規格、デザインなどの内容を具体的に指定して、他の事業者に製造・加工を依頼することです。市場で売られている規格品や標準品を購入する「売買」とは区別しましょう。

      委託事業者が業として販売する商品や使用する部品について、一定の仕様等を指示して他の事業者に製造を依頼する場合、資本金および従業員数区分等の要件を満たすことを前提として、取適法上の「製造委託」に該当する可能性があります。[参考2]

      2.製造委託の4つの類型

      製造委託の中には、以下の4つの類型があります。

      • 自社販売している物品などの製造を他社に委託する場合

      • 受託製造している物品などの製造を他社へ委託する場合

      • 物品の修理に必要な部品・原材料の製造を他社に委託する場合

      • 自社利用目的で社内製造している物品などの製造を他社に委託する場合

      それぞれ詳しく見ていきましょう。

      2-1.1)自社販売している物品などの製造を他社に委託する場合

      1つ目の類型は、自社販売している物品などの製造を他社に委託するケースです。これは、自社で最終商品を販売するために、その商品自体、またはその部品、原材料、金型などの製造・加工を外部に依頼する場合を指します。

      【具体的なケース例】

      • 自動車メーカーが、販売する自動車の部品の製造を協力会社に発注

      • 大規模小売業者が、自社のPB商品の製造を食品加工業者に依頼

      • 出版社が、販売する書籍の印刷を印刷業者に委託

      これらの取引は、委託事業者が具体的な仕様を指定して発注するため、取適法の規制対象となる可能性があります。

      2-2.2)受託製造している物品などの製造を他社へ委託する場合

      2つ目の類型は、委託事業者が顧客から受けた製造の仕事を、自社では行わず、あるいは一部だけ行い、残りを外部に任せるケースです。

      【具体的なケース例】

      • 精密機械メーカーが、受注した機械の部品製造を、別の部品業者に委託

      • 建築材メーカーが、受注した建築材の原材料製造を、外部の原材料業者に委託

      • 繊維製品卸売業者が、受注した衣料品の縫製を、外部の製造業者に委託

      上記の委託も、委託事業者が仕様を指定するため、取適法の規制対象となる可能性があります。

      2-3.3)物品の修理に必要な部品・原材料の製造を他社に委託する場合

      3つ目の類型は、委託事業者が顧客から請け負った物品の修理を行うために、必要な部品や原材料の製造を他の事業者に委託するケースです。

      【具体的なケース例】

      • 家電メーカーが、消費者向け製品の修理に必要な部品製造を部品業者に委託

      • 家電メーカーが、修理に必要な専用電子部品の製造を専門工場に特注

      • 工作機械業者が、自社で使用する機械の修理に必要な部品製造を部品業者に委託

      この場合も、部品等の仕様を指定して製造させる点がポイントです。

      2-4.4)自社利用目的で社内製造している物品などの製造を他社に委託する場合

      4つ目の類型は、委託事業者が自ら使用または消費する物品(設備なども含む)を業として製造している場合に、その物品の製造または部品の製造を他の事業者に委託するケースです。

      【具体的なケース例】

      • 部品メーカーが、自社工場用の専用生産設備の製造を外部業者に特注

      • 製薬会社が、自社で使う試験研究用装置の部品製造を精密加工業者に依頼

      • 食品工場が、商品パッケージングに必要な特殊な金型の製造を外部業者に委託

      物品の最終的な用途が自社利用であっても、当該物品を業として製造していると評価される場合には、取適法の規制対象となる可能性があります。[参考2]

      3.製造委託の対象外となるケース

      以下のようなケースでは、製造委託の対象外となります。

      • 規格品・標準品を購入する場合

      • 自社で製造していない自社利用物品の製造を委託する場合

      それぞれ確認していきましょう。

      3-1.規格品・標準品を購入する場合

      市場で一般的に流通している規格品や標準品を、単に数量を決めて購入する取引は、原則として委託事業者が仕様を指定しないため、製造委託の対象外となります。

      しかし、規格品や標準品を購入する場合でも、委託事業者が具体的な仕様を指定し、何らかの加工や作業を依頼すれば、例外的に「委託」に該当する可能性もあります。

      たとえば「既製品のパイプを特定の長さに切断させる」「既製品の容器に自社の社名を印刷させる」「製品に依頼者の刻印を打たせる」などです。

      上記のような、購入品に対して依頼者の指示に基づき独自の加工を行わせる場合、取適法の対象となる製造委託に該当します。

      3-2.自社で製造していない自社利用物品の製造を委託する場合

      自社で製造していない自社利用物品の製造を他社に委託する場合は、製造委託の対象外です。

      先述したとおり、製造委託として規制されるのは「自社利用目的で社内製造している物品などの製造を他社に委託する場合」です。

      したがって、委託事業者がそもそも自社で製造していない物品を、自社で使用する目的で外部の事業者に製造委託しても、取適法上の「製造委託」には該当しません。

      たとえば、自社では精密機器を製造しているメーカーが、自社工場で製造していない特殊な溶接機械を、自社利用のために外部の機械設備メーカーに特注するケースです。

      上記のような取引は、一般的には取適法上の製造委託には該当しないとされています。

      4.取適法の判断に迷うポイントも「Legalscape」がサポート

      委託事業者が業として販売する商品や使う部品について、具体的な指示を出して製造を任せる場合には、取適法の対象となる「製造委託」に該当します。他方、事業者が仕様、内容等を指定せずに規格品・標準品を購入する場合などは取適法上の製造委託の対象外となります。

      しかし、実際のビジネスの現場では「この取引は製造委託に該当するのか?」など、複雑な判断に迷うことが多々あるでしょう。

      そのような法的な判断の迷いを解決するためには、リーガルリサーチが有効です。

      たとえば、AI搭載の「Legalscape(リーガルスケープ)」を利用すれば、取適法に関する膨大な法令・判例・専門書を一元検索できるため、取適法の適用条件やその根拠をすぐに確認できます。さらに、質問文をそのまま入力するだけで、AIが要点を整理し、関連法令や判例へ誘導してくれるため、迅速かつ正確な判断をサポートします。

      無料トライアルもご用意しています。
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      本記事の記述は一時的情報であり、特定の事案への法的助言を行うものではありません。

      参考1:製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律 第2条 | e-Gov 法令検索

      参考2:中小受託取引適正化法ガイドブック|公正取引委員会

      監修者

      吉田 修平

      株式会社Legalscape コーポレート本部法務 Legal Counsel / 弁護士

      2017年に弁護士登録後、インハウスローヤーに転身。金融機関で銀行法務・新規事業開発に携わり、WeWork Japan にてビジネス法務・コンプライアンス体制構築を主導。2024年3月Legalscapeに入社。法務コンプライアンスの知見をプロダクト開発に活かし、リーガルイノベーションの最前線を支える。

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