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個人情報漏洩が起こるとどうなる?罰則や報告義務、対策方法を解説

個人情報漏洩が起こるとどうなる?罰則や報告義務、対策方法を解説

    公開日:2025年12月25日

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    更新日:2026年02月06日

      個人情報漏洩は企業の信用失墜や賠償リスクにつながる深刻な問題で、正しい理解と適切な対策が不可欠です。

      本記事では、漏洩が起きた際の影響や法的義務を体系的に整理して解説します。

      個人情報保護法の報告義務や本人通知のポイント、漏洩時に求められる対応、漏洩を防ぐための技術的・人的対策も具体的に紹介します。

      法改正が続く個人情報分野で最新情報を把握するために役立つLegalscapeの活用方法にも触れているので、ぜひ最後まで読んでください。

      1.個人情報漏洩が起こる主な原因

      個人情報漏洩は、内部・外部のどちらからでも発生する点が大きな問題です。個人情報漏洩が起こる原因を正しく理解しておけば、自社に必要な対策を明確にでき、漏洩リスクを大幅に減らすことにつながります。

      1-1.社内の従業員による情報漏洩

      社内で発生する情報漏洩は、従業員によるミスや意図的な不正行為が主な原因です。メールの誤送信やデータの紛失といった日常的な行動からでも漏洩は容易に起こります。

      さらに従業員の恣意的な持ち出しは被害が深刻化しやすいため、企業は内部統制の強化が欠かせません。それぞれの場合について詳しく見ていきましょう。

      1-1-1.従業員による人的ミス

      個人情報漏洩の原因で最も多いのが、従業員の人的ミスです。以下のように日常的な業務の中に、紛失・盗難となるリスクが潜んでいます。

      • 顧客データを保存したパソコンやUSBメモリを置き忘れる

      • 外出先で盗難に遭う

      • 個人情報が記載された書類を誤って破棄・紛失する

      • メールを誤った宛先に送信する

      • 社内限定情報を誤ってWeb上に公開する

      • 権限設定の誤りで本来閲覧不要な従業員がデータにアクセスできてしまう

      人的ミスは注意不足で起こりやすく、どの企業でも発生し得るため、対策の必要性があります。

      1-1-2.意図的な内部の不正

      意図的な内部不正とは、従業員が個人情報を故意に持ち出し、外部に売却・提供する行為です。企業への不満や金銭目的が動機になることが多く、漏洩範囲が非常に大きくなります。

      内部犯行が疑われる場合は証拠隠滅の恐れがあるため、専門家に早急に相談しつつ、懲戒処分など厳格な対応が必要です。

      1-2.外部の攻撃による情報漏洩

      外部からのサイバー攻撃も、企業にとって大きな漏洩リスクです。外部の攻撃について見ていきましょう。

      1-2-1.マルウェアの感染

      マルウェアとは、悪意ある動作を目的としてつくられたウイルスや不正プログラムの総称です。感染すると、内部情報を攻撃者に送信する仕組みが多く、個人情報が外部へ流出します。

      特に注意すべきなのが、標的型メール攻撃です。標的型メール攻撃は、実在の人物を装ったメールや業務に関連する件名を用いて受信者を信用させ、添付ファイルやリンクからマルウェアを侵入させます。

      感染後はネットワーク内を移動し、サーバーや端末に保存された個人情報を盗み出すケースが確認されています。マルウェア攻撃は巧妙化しており、従業員の意識と技術的防御の両方を備えなければ、防ぐことは困難といえるでしょう。

      1-2-2.サーバー攻撃による不正アクセス

      不正アクセスとは、許可されていない第三者がサーバーやパソコンなどに侵入し、情報を不正に取得する行為です。攻撃者はログインIDやパスワードを盗み取るほか、サーバーの脆弱性を狙ってアクセス制限を突破することもあります。

      不正アクセスは、個人情報が大量に盗まれるだけでなく、システム停止など事業継続にも影響が及ぶものです。

      不正アクセスの手口は悪質化しており、企業規模を問わず狙われる可能性があります。

      2.個人情報漏洩を起こしたらどうなる?企業のリスクについて

      個人情報漏洩が発生すると、企業は信頼低下や賠償金の発生、法的処分などのリスクを抱えます。ここからは、漏洩時に企業が直面する代表的なリスクを見ていきましょう。

      2-1.企業の社会的信用損失・イメージダウン

      個人情報漏洩が起こると、企業は大きな社会的信用の失墜を避けられません。顧客にとって「個人情報の管理ができない会社」という印象が強く残り、安心してサービスを利用できなくなるためです。

      実際、漏洩後は顧客離れが加速したり、取引先から契約解除を受けたりするケースもあります。

      特に人種や病歴、犯罪歴などの要配慮個人情報や、クレジットカードの暗証番号といった二次被害につながる情報が流出した場合、信頼回復は一層困難です。

      2-2.損害賠償責任を負う可能性がある

      個人情報漏洩が発生した場合、企業は顧客や関係者に対して損害賠償責任を負う可能性があります。漏洩の内容や被害の程度に応じて支払額は変動しますが、裁判例では1件あたり数千円〜1万円で認められることがあります。

      一見すると少額に見えますが、漏洩件数が千件を超える規模になると、数千万円以上に達することも珍しくありません。

      さらに、調査対応や謝罪費用、コールセンター設置などの間接コストも加わるため、企業の経済的負担は極めて大きくなります。

      2-3.罰則を受ける可能性がある

      個人情報漏洩が発生したからといって、直ちに刑罰が科されるわけではありません。しかし状況によっては、企業が法的処分を受ける可能性があります。

      まず個人情報漏洩が発生すると行われるのは、個人情報保護委員会による立入調査です。その際に調査拒否や虚偽報告をすると50万円以下の罰金が科されます。

      さらに調査後に改善命令が出され、従わない場合は企業名が公表され、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が適用されます。

      また従業員(退職者を含む)が個人情報を不正利用した場合も、1年以下の懲役または50万円以下の罰金となる可能性もあるでしょう。

      3.個人情報漏洩時の報告義務

      個人情報漏洩が発生した場合、企業は法令に基づいて報告しなければならない義務があります。報告義務について詳しく見ていきましょう。

      3-1.個人情報保護法26条の報告義務

      個人情報保護法26条の報告義務とは、個人情報取扱事業者が扱う個人データについて、個人の権利や利益を大きく損なうおそれがある漏えい・滅失・毀損(以下「漏えい等」)が生じた場合、またはそのおそれがある場合に課される義務です。

      報告対象は、以下の4つです。

      1. 要配慮個人情報を含む漏洩等が発生した場合

      2. 不正アクセスや詐欺など悪意ある第三者による漏洩が疑われる場合

      3. 個人データの漏洩件数が1,000件以上の場合

      4. 個人の権利や利益を害するおそれが高い漏洩が発生士は場合

      2022年の法改正により、報告義務は従来の努力義務から罰則の対象にもなる「必須の義務」へと強化されました。

      報告先となるのが「個人情報保護委員会」です。個人情報保護委員会は、個人情報保護法に基づき設置された独立性の高い行政機関で、個人情報の適切な取り扱いを監督する役割を担います。

      企業は漏えい等を把握した段階で、迅速かつ正確に状況を報告しなければなりません。[参考1][参考2]

      3-2.報告内容

      漏洩が発生した場合、企業は以下の項目について個人情報保護委員会へ報告する必要があります。報告内容は次のとおりです。

      • 概要(発生日・発覚日・発生事案・発見者・該当事案の種類等)

      • 個人データの項目

      • 漏洩した個人情報に含まれる人数

      • 原因

      • 二次被害またはそのおそれの有無・内容

      • 本人への対応状況

      • 公表の実施状況

      • 再発防止策(実施済み・予定の措置)

      • その他参考情報

      これらの項目は、漏洩の全体像を正確に把握し、二次被害を防止するために必要な情報です。特に原因究明や再発防止策は企業の管理体制の改善に直結するため、詳細に記載することが求められます。[参考3]

      3-3.報告の期限

      個人情報漏洩の報告は「速報」と「確報」の2段階です。

      速報は、漏洩事案を把握した時点で可能な範囲の情報をまとめ、3〜5日以内に提出します。これは初期対応を迅速に行うためのものです。

      確報は、漏洩発生を知ってから原則30日以内に提出します。不正目的による漏洩の場合は60日以内です。報告項目すべてについて詳しい内容を提出する必要があります。

      ただし、合理的努力を尽くしても判明していない項目がある場合は、その時点の情報を提出し、判明次第追って報告することが認められています。

      3-4.報告方法

      個人情報漏洩に関する報告は、原則として個人情報保護委員会Webサイト内に設置された専用の報告フォームからです。

      必要事項を入力し、企業として確認した漏洩内容を直接委員会に提出します。オンラインで完結できるため、迅速な報告が可能です。

      ただし事業分野によっては、個人情報保護委員会が報告の受領を所管官庁に委任しているケースがあります。その場合は該当する官庁に対して報告を行うことが必要です。[参考2]

      4.漏洩した個人情報の本人への通知

      個人情報漏洩が発生し、個人情報保護委員会への報告義務が生じる場合、企業は対象となる本人へも速やかに通知しなければなりません。本人が二次被害の防止や自衛措置を取れるようにするためです。

      通知時期は漏えい等の状況に応じ、速やかに行うことが求められています。被害の拡大を防ぐため、企業は把握した時点で誠実に対応しなければなりません。通知内容には、以下の項目を含めることが必要です。

      • 漏洩の概要

      • 漏洩した個人データの項目

      • 原因

      • 二次被害の有無や内容

      • その他、本人が理解するために必要な事項

      通知方法は、メールなどわかりやすい手段が原則です。ただし住所不明や連絡不可など通知が困難な場合には、問い合わせ窓口の設置など、本人の権利利益を保護するための代替措置を取ることも認められています。

      企業は本人の不安解消と被害抑止のため、明確で丁寧な通知が求められます。[参考1][参考3]

      5.個人情報漏洩を起こさないための対策

      個人情報漏洩を防ぐためには、技術的な対策と人的な対策の両方をバランスよく取り入れることが重要です。ここからは、企業が実施すべき具体的な対策を見ていきましょう。

      5-1.セキュリティソフトの導入・アップデート

      個人情報漏洩を防ぐ最も基本的な施策が、セキュリティソフトの導入と定期的なアップデートです。

      セキュリティソフトには、サイバー攻撃を検知する機能や、Webサイト・ソフトウェアの脆弱性を診断する機能など、多様な保護機能が搭載されています。

      中には、攻撃者の不審な挙動から不正アクセスを検知できるタイプもあり、企業の総合的な防御力を高めるうえで非常に効果的です。しかしマルウェアは日々進化するため、ソフトを導入しただけでは不十分です。

      常に最新の状態を保つため、定期的なアップデートが欠かせません。基本的な対策であるものの徹底できていない企業も多いため、改めて点検しておきましょう。

      5-2.OS・ソフトウェアの脆弱性対策を行っておく

      OSやソフトウェアの脆弱性を放置すると、攻撃者に狙われて情報漏洩のリスクが高まります。脆弱性とはセキュリティ上の欠陥のことで、インターネット環境の変化やサービスの更新によって新たに発生することがあります。

      解消する最も効果的な方法が、定期的なアップデートです。アップデートによって脆弱性が修正され、攻撃の入り口を塞げます。

      Webサイトやソフトの脆弱性を発見する不正検知サービスを利用するのも有効です。

      特にWordPressなどのオープンソースCMSは、マルウェアが埋め込まれるリスクもあるため、CMSの新バージョンが公開された際は速やかに更新し、自社サイトの安全を守りましょう。

      5-3.社内でセキュリティに関する研修を行う

      従業員のセキュリティ意識を高めることも、個人情報漏洩対策として欠かせません。

      どれだけルールを整備しても、従業員のリテラシーが不足していれば、誤操作や不注意による漏洩が起こり得ます。

      定期的なセキュリティ研修を実施し、情報管理の重要性や過去の事例から学べる環境を整えることで、危機意識をもたせられます。セキュリティポリシーや運用ルールの周知と教育を組み合わせれば、社内全体のセキュリティレベルを大きく向上できるでしょう。

      5-4.従業員と守秘義務に関する書面を取り交わしておく

      従業員との守秘義務契約を締結することは、情報漏洩の抑止力として効果的です。

      すべての従業員が「業務で知り得た情報を外部に漏らさない」という意識をもっているとは限らないため、入社時に書面で明確に説明し、署名を得ることが重要です。

      契約を取り交わせば、個人情報の扱いに対する責任感を従業員にもたせることができ、万が一漏洩が起きた際もその重大性を理解しやすくなります。

      特に要配慮の個人情報や機密情報を扱う部署では、事前に取り扱いの重要性を説明したうえで契約を結ぶことで、内部不正の防止にもつながります。

      6.個人情報漏洩に関する法情報を検索するなら「Legalscape」

      個人情報漏洩は、企業の信用低下や賠償リスク、法的罰則など深刻な影響を及ぼすため、正しい知識と迅速な対応が欠かせません。特に個人情報保護法の改正内容や報告義務の要件は複雑で、最新情報を常に把握する体制が重要です。

      そこで役立つのが、法情報特化型AIリサーチサービスの 「Legalscape」 です。Legalscapeは知りたい法令や判例、ガイドラインを検索すると瞬時に要約が表示され、調査の負担を大幅に削減できます。

      調べた内容はそのままリサーチノートに整理し、チームメンバーと共有できるため、社内の情報統一にも役立つでしょう。

      また、引用元の法令や文献を原典まで正確に辿れるため、コンプライアンス文書作成やリスク管理にも安心して活用できます。個人情報漏洩対策に必要な法情報を確実に把握したい企業は、ぜひLegalscapeを活用してみてください。

      本記事の記述は一時的情報であり、特定の事案への法的助言を行うものではありません。

      参考1:個人情報の保護に関する法律 | e-Gov 法令検索

      参考2:漏えい等の対応とお役立ち資料 | 個人情報保護委員会

      参考3:個人情報の保護に関する法律施行規則 | e-Gov 法令検索

      監修者

      吉田 修平

      株式会社Legalscape コーポレート本部法務 Legal Counsel / 弁護士

      2017年に弁護士登録後、インハウスローヤーに転身。金融機関で銀行法務・新規事業開発に携わり、WeWork Japan にてビジネス法務・コンプライアンス体制構築を主導。2024年3月Legalscapeに入社。法務コンプライアンスの知見をプロダクト開発に活かし、リーガルイノベーションの最前線を支える。

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