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下請法の60日ルールとは?数え方や罰則、例外まで詳しく解説

下請法の60日ルールとは?数え方や罰則、例外まで詳しく解説

    公開日:2026年01月30日

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    更新日:2026年03月10日

      下請代金支払遅延等防止法(以下、下請法)の60日ルールとは、下請事業者への支払期日を定めた規定です。親事業者は下請事業者の健全な経営のため、下請代金を60日以内に支払う義務を負います。

      下請法は、違反すると罰則が科される可能性のある厳格な法律ですが「60日ルール」を正しく理解できていない事業者も少なくありません。

      本記事では、下請法の60日ルールについて、数え方や罰則、例外のケースまでを詳しく解説します。下請法の60日ルールを正しく理解したい方は、ぜひ参考にしてください。

      なお、下請法は2026年1月に「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律(取適法)」へ改正されます。本記事では、2025年12月時点の現行法である下請法について解説しているので、ご留意ください。

      1.下請法(下請代金支払遅延等防止法)とは

      下請法(下請代金支払遅延等防止法)とは、下請取引の公正化と下請事業者の利益保護を目的とした法律です。親事業者による代金支払遅延や不当な減額など、下請け業者の不利益となる行為を防止するためのルールを定めています。

      下請法の適用有無は「資本金区分」「取引内容」で決まります。下請法が適用される場合、親事業者は以下4つの義務を果たさなければいけません。

      • 発注書面の交付義務

      • 発注書面の作成

      • 下請代金の支払期日を定める義務

      • 遅延利息の支払義務

      また、下請法では親事業者による受領拒否や返品、買いたたき、報復措置など、計11項目の禁止事項も定められています。[参考1][参考2]

      下請法の全体的な知識を知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

      関連記事:下請法をわかりやすく解説!適用範囲・対象取引・義務・禁止事項

      2.下請法における60日ルールとは

      下請法における「60日ルール」とは、親事業者が納品物を受領した日から60日以内に代金を支払わなければいけないという規定です。請負や準委任などの契約形態を問わず、60日ルールが適用されます。

      ここでは、支払期限の「60日以内」の数え方と、違反した場合の勧告について紹介します。

      2-1.支払期限60日以内の数え方

      下請法では、支払期日は「納品物を受領した日」から起算して60日以内に設定しなければいけません。4月1日に納品物を受領した場合の起算日は同日の「4月1日」であり、1日目としてカウントします。

      たとえば、10月末日が締め日だと、翌々月の12月末日まで62日以上あります。後述する例外を除き、上記のように期限が60日を超えると勧告の対象となるため注意が必要です。

      2-2.60日ルールに違反した場合の勧告

      60日ルールに違反した場合、親事業者は勧告の対象です。支払遅延があった際は、親事業者は年14.6%の遅延利息を支払わなければいけません。

      また、悪質な違反と判断された場合は、公正取引委員会によって勧告・公表される可能性があります。

      勧告や公表を受けると、社会的信用の低下リスクを招きます。下請事業者との信頼関係を構築するためにも、法令を遵守した対応を行うことが重要です。

      3.下請法における60日ルールの例外

      下請法では原則として「60日以内の支払期限」が規定されていますが、特定の事情により例外が認められる場合があります。ただし、例外の適用には、合理的な理由や当事者間の明確な合意が必要です。

      ここでは、下請法における60日ルールの例外について詳しく解説します。

      3-1.締切計算の場合

      下請法における支払期日は、原則として「受領日から60日以内」です。

      ただし、31日の月を挟むことで計算上61日や62日になっても、月単位の運用であれば例外的に容認されます。これを締切計算といいます。

      なお、締切計算は、上記以上の猶予を認める緩和措置ではありません。あくまで暦の都合による数日の超過のみが許容される、厳格なルールです。[参考3]

      3-2.下請事業者が起因するやり直しの場合

      下請事業者の責任による修正・やり直しが発生した場合は、支払期日が延長されることがあります。

      たとえば、契約内容と異なる商品を納品したり、サービスに欠陥があったりする場合は、親事業者は下請事業者に対してやり直しの要求が可能です。この場合、支払期限の起算日は、やり直し後の納品・受領日に延長されます。

      ただし、親事業者の都合で再作業を依頼する場合は、例外に該当しないため注意が必要です。[参考2]

      3-3.システム等開発業務委託契約を受領した場合

      「システム等開発業務委託契約」とは、企業がシステム開発を外部の業者に依頼する際に締結する契約です。システムやソフトウェア開発などの情報成果物作成委託も下請法の対象ですが、検収までに時間を要する場合は、合理的な期日設定が認められることがあります。

      ただし、上記が適用されるためには、事前に両者間での合意が必要です。3条書面に明記された納期日において、親事業者の支配下にあると記載されている場合は、確認の有無を問わず、当該期日に給付を受領したものとして「支払期日」の起算日とされます。[参考2]

      3-4.継続的な役務提供委託の場合

      「継続的な役務提供委託」とは、個々の役務が連続して提供される役務のことです。継続的な役務提供委託では、役務の完了時期を1カ月以内の一定期間ごとに区切って役務の完了を評価できる場合があります。これに該当する場合、あらかじめ定めた期間の末日を起点として、60日以内に支払期日を定めることが可能です。

      ただし、契約終了後に発生する残額の清算については、期間の末日ではなく最終的な役務完了日を基準に60日ルールが適用される点に注意が必要です。

      3-5.支払日に銀行等が休日・休業日の場合

      設定している支払期日が銀行の休業日にあたる場合は、翌営業日に支払うことが認められています。たとえば、支払期日が日曜日の場合、翌日の月曜日に支払っても下請法違反には該当しません。

      ただし、銀行の休業による支払期日の延長は、事前に双方の合意が必要です。また、休業日以外での遅延は60日ルール違反となるため注意してください。

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      4.下請代金の支払いには手形が使える?

      下請代金の支払いには手形の使用が認められています。ただし、支払期日までの期間が長く、一般金融機関で割引が困難な手形の交付は禁止されているため注意が必要です。

      以前は、手形による支払期限は90日(繊維業は120日)まで認められていました。しかし、令和6年11月1日以降は下請法の規定に則り、一律60日以内に見直されています。

      下請代金の支払いに手形を使用する際は、支払期日や手形の信用度を十分に確認することが重要です。

      5.下請法の60日ルールにおける注意点

      ここでは、下請法の60日ルールにおける注意点を紹介します。

      5-1.下請事業者が同意していても下請法は免責にならない

      下請法の60日ルールは、下請事業者の合意を得ていても免責になりません。たとえば、下請事業者が90日後の支払いに合意していたとしても、下請法の60日ルールが適用されます。

      契約書の記載有無も関係なく、法律の規定が優先されます。代金の支払いが60日以降になる場合は、親事業者は下請法違反として勧告の対象になるため注意が必要です。

      5-2.60日ルールの起算日は検収日ではない

      下請法における60日ルールの起算日は、検収日ではなく「納品物を受領した日(役務完了日)」です。納品物の内容を確認した日や請求書の発行日などを基準にすると、法令違反になる恐れがあります。

      たとえば、4月1日に受領した商品を4月5日に検収しても、支払期限は「4月1日」からカウントされます。事務処理で支払いが遅延した場合も違反に該当するため、余裕をもったスケジュールで各業務を進めることが大切です。

      ただし、システム等開発業務委託契約において双方で合意していた場合は、検収日を起算日とできる例外もあります。

      5-3.特定建設業者の支払期日は50日以内である点を理解する

      下請法下では、原則として「60日ルール」が適用されますが、特定建設業者の支払期日は50日以内です。国土交通省では、以下に該当する建設業者を「特定建設業者」と定義しています。

      発注者から直接(元請負人として)請け負った工事について、5,000万円(建築工事業の場合は8,000万円)以上となる下請契約を締結する場合

      引用:建設産業・不動産業:建設業の許可とは - 国土交通省

      上記の規定は建設業法による特例であり、下請法よりも厳格に定められています。

      特定建設業者に該当する場合は、引き渡しの申し出から50日以内に代金を支払わなければいけません。[参考4]

      6.下請法の遵守にはLegalscapeによる法令チェックがおすすめ

      下請法では、親事業者に対して複数の義務や禁止事項が定められています。「60日ルール」は、下請事業者の利益保護を目的とした重要な規定であり、親事業者はルールを遵守しなければいけません。

      下請法に違反した場合は、遅延利息の支払義務が生じるほか、悪質な場合は勧告や公表、刑事罰が科される可能性もあります。企業の社会的信用を低下させる恐れがあるため、法律を正しく理解したうえで、適切に対応することが重要です。

      下請法を遵守した対応をとるためには「Legalscape」の活用がおすすめです。法律書籍・判例・法令・ガイドラインの情報が網羅されているだけでなく、知りたい情報を検索するだけでAIが自動で要約してくれます。

      過去のリサーチ内容をブックマークできるため、社内での共有も容易です。会社法に関する書籍も豊富なため、幅広い契約や業務に役立ちます。

      下請法を遵守した取引を継続したい企業さまは、ぜひ「Legalscape」の活用をご検討ください。

      本記事に記載の情報は一般的情報であり、特定の事案への法的助言ではありません。

      参考1:下請代金支払遅延等防止法 | e-Gov 法令検索

      参考2:下請代金支払遅延等防止法 | 中小企業庁

      参考3:下請法 知っておきたい豆情報 その2 | 公正取引委員会

      参考4:建設業法 | e-Gov 法令検索


      監修者

      吉田 修平

      株式会社Legalscape コーポレート本部法務 Legal Counsel / 弁護士

      2017年に弁護士登録後、インハウスローヤーに転身。金融機関で銀行法務・新規事業開発に携わり、WeWork Japan にてビジネス法務・コンプライアンス体制構築を主導。2024年3月Legalscapeに入社。法務コンプライアンスの知見をプロダクト開発に活かし、リーガルイノベーションの最前線を支える。

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