
定時株主総会の開催時期・回数に法的な決まりはありませんが、事業年度末から3か月以内に設定するのが一般的です。定時株主総会は、6月の最終営業日の前日に集中しやすいものの、昨今は開催時期の分散化が進んでいます。
開催が遅れると罰則が科せられる、企業運営に影響するなどのリスクがあるため、適切な期日を設定し、早めに準備することが重要です。
本記事では、定時株主総会の開催日の決め方や、開催が遅れた場合のリスクについて解説します。当日までに必要な準備も紹介しますので、参考にしてください。
株主総会には「定時株主総会」と「臨時株主総会」があります。
会社法第296条第1項によると、定時株主総会は、毎事業年度の終了後、一定の時期に開催しなければいけません。
定時株主総会の開催時期に法的な決まりはありません。会社法では、基準日を定めた場合、株主が権利を行使できるのは基準日から3か月以内とされているため(会社法第124条第2項)、事実上、多くの会社が事業年度終了後3か月以内に定時株主総会を開催しています。[参考1]
ただし、やむを得ない事情で当初予定した時期の開催が困難な場合は、状況を見ながら開催時期を判断して問題ないとされています。
臨時株主総会は、開催時期・回数ともに決まっていません。企業の重要事項を決定する際など、必要に応じていつでも開催できます(会社法第296条第2項)。[参考2]
定時株主総会の開催時期は企業ごとに異なりますが、集中しやすいのは6月です。日本企業の多くは事業年度末を3月に設定しており、3か月後の6月に開催するケースが多いためです。
他社と時期が重ならないように開催時期を前倒しする選択肢もありますが、事業年度末の直後は決算与信などの経理業務が立て込みやすく、実現は容易ではありません。
総会当日までに資料の作成や質疑応答のシミュレーション、招集通知の発送などの事前準備が必要な点も、事業年度末直後の開催が難しい理由といえるでしょう。
定時株主総会は、6月の中でも最終営業日の前日に集中しやすいとされています。いわゆる「集中日」です。
これは、6月の最終営業日に開催すると、議論が長引いて翌日に持ち越した場合、事業年度末から3か月以内に終えられず、法人税の申告期限(原則2か月、延長して3か月以内)や有価証券報告書の提出期限(3か月)を経過してしまうリスクがあるためです。

定時株主総会の開催日は、事業年度末から3か月以内に設定するのが基本です。本章では、3か月以内の開催が適切とされる、3つの考え方について詳しく解説します。
基準日とは、企業が定めた一定の日のことです。日本企業の多くは事業年度末を基準日としており、設定の際は、基準日の2週間前までに公告が必要です。
会社法第124条第1項によると、基準日の時点で株主名簿に記録・記載されている者(基準日株主)が、議決権などを行使できます。
ただし、行使可能な期間は基準日から3か月以内と定められているため(会社法第124条第2項)、この期間内に定時株主総会を開催することになります。[参考1]
法人税の確定申告期限は、原則として事業年度末から2か月以内です。ただし、定時株主総会を事業年度末から3か月以内に開催する旨を定款に記載している場合、申告期限を1か月延長できることが、法人税法第75条の2で定められています。
法人税の確定申告は、定時株主総会で承認された計算書類を基に行わなければいけません。事業年度末から3か月以内に定時株主総会を開催し、速やかに確定申告を終える必要があるでしょう。[参考3]
事業年度の終了後、企業は計算書類・事業報告を迅速に作成しなければいけません。いずれも定時株主総会で報告・承認が必要ですが、作成や監査・取締役会の承認を経て株主に提供されるため、一定の期間を要します。
事業年度末直後ではなく、3か月後に定時株主総会を開催することにより、時間的余裕を確保した上で必要書類の準備を進められるでしょう。
定時株主総会の開催はすべての株式会社に義務付けられており、違反すると過料に処せられる可能性があります。定時株主総会を所定の時期内に招集することは取締役の義務と解されており、この義務を履行しない場合、取締役は任務懈怠による損害賠償責任(会社法第423条1項、429条1項)を負うこともあります。
また、株主総会では定款変更や役員選任、配当決定などのさまざまな決議を行うため、開催が遅れると企業運営に影響しかねません。災害や感染症などのやむを得ない事情を除き、定款に定めた開催時期の遵守を徹底しましょう。
定時株主総会を滞りなく開催するには、事前にいくつか準備をしなければいけません。本章では、定時株主総会までに企業がすべき4つのことを紹介します。
以下の記事では、株主総会の種類や決議事項、開催時期・流れなどをわかりやすく解説していますので、併せてご覧ください。
関連記事:株主総会とは?種類や決議事項、開催時期・流れをわかりやすく解説
定時株主総会を開催する際は、招集通知の発送が必要です。公開会社は開催日の2週間前、非公開会社は1週間前までに、株主へ送付するのが基本です。
招集通知には通知書のほか、計算書類や事業報告などの参考書類も添付しなければいけません。書類作成に必要な時間を考慮した上で開催日時を決定し、開催場所や議案とともに招集通知へ記載しましょう。
招集通知についてさらに理解を深めたい方は、以下の記事をご参照ください。
関連記事:株主総会招集通知とは?記載事項やいつまでに発送すべきか等を解説
株主総会の開催場所に法的な決まりはありませんが、会社法298条第1項の定めにより、物理的な場所の確保が必要です。
自社ビル以外で開催する場合は、必要人数を収容できるホテルや貸会議室などを確保しましょう。株主総会が集中しやすい6月に開催する場合は、早めの予約が望ましいです。会場準備・リハーサルがしやすいように、前日から確保しておくとよいでしょう。
ただし、定款に開催場所を記載している場合は、定めに従う必要があります。[参考4]
株主総会に必要な書類として、計算書類(損益計算書・貸借対照表・個別注記表・株主資本等変動計算書)と事業報告を作成します。
作成した書類は、取締役会設置会社は取締役会での承認、監査役設置会社は監査役による監査で認められなければいけません。上場企業や大企業の場合は、会計監査人による会計監査が必要とされ、厳格な手続きが求められることもあります。
承認を得た書類は株主に提供され、報告や承認決議の対象として扱われます。
株主総会では、株主による質疑応答の時間が設けられており、事前準備が欠かせません。質問を予測し、回答を準備しておくことで、場当たり的な対応による企業の信頼失墜を避けられるでしょう。
過去の株主総会で質問された内容のほか、自社の課題や業界の動向を踏まえて、分野ごとに問答集を用意しておくと安心です。財務状況やコンプライアンス、経営戦略、配当政策などの分野を網羅しておくとよいでしょう。
回答者を役員間で事前に決めて、リハーサルを行うことも重要です。

株主総会は物理的な場所での開催が基本ですが、一定の条件を満たした株式会社は、インターネット上のバーチャル空間で開催できます。
バーチャル株主総会のメリットは、感染症対策に有効で、遠方に住む株主も手軽に参加できる点です。また、会場の利用料・設営コストの削減も可能です。
ただし、バーチャル株主総会には、通信トラブルやサイバー攻撃などのリスクが伴います。企業の信頼性を損なわないために、導入時は、接続マニュアルを事前に配布する、エンジニアを待機させるといった対策を講じましょう。
定時株主総会の開催時期に法的な決まりはありませんが、事業年度末から3か月以内に設定するのが一般的です。定時株主総会は6月の最終営業日の前日に集中しやすいものの、昨今は開催時期の分散化が進んでいます。
開催が遅れると役員が過料に処せられるだけでなく、企業運営に影響する恐れもあるため、適切な期日を設定して早めに準備しましょう。
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本記事の記述は一時的情報であり、特定の事案への法的助言ではありません。
吉田 修平
株式会社Legalscape コーポレート本部法務 Legal Counsel / 弁護士
2017年に弁護士登録後、インハウスローヤーに転身。金融機関で銀行法務・新規事業開発に携わり、WeWork Japan にてビジネス法務・コンプライアンス体制構築を主導。2024年3月Legalscapeに入社。法務コンプライアンスの知見をプロダクト開発に活かし、リーガルイノベーションの最前線を支える。
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