
株主総会議事録とは、株主総会で決まった事項や決議内容を記した書類のことです。株主総会議事録の作成と保管の義務について、会社法という法律で定められています。
株主総会議事録は、株主総会で決定された重要事項を明確に記録し、株主や債権者といった利害関係者に対して、株主総会の適法性を証明するために不可欠なものです。
議事録の記載内容に関する責任は取締役が負うため、作成時のポイントや法で定められた必須の記載事項を正確に理解しておかなくてはいけません。
そこで本記事では、株主総会議事録の概要と必要性、記載事項や作成時のポイントを解説します。
株主総会議事録とは、株主総会で決定された事項や決議内容など議事を記録した書類です。会社法によって作成と保存が義務付けられています。
一般的に株主総会議事録は取締役が作成し、記載内容に関する責任も取締役が負います。取締役は、代表取締役を含め、複数人が作成者となることも可能です。
また、株主や会社の債権者から求めがあった際や、法務局での登記手続きや税務調査が行われる際にも、提出を求められることがあります。
株主総会とは、株式会社において、取締役の選任や定款の変更など、会社の重要事項を株主が議決する最高意思決定機関です。株主総会には「定時株主総会」「臨時株主総会」の二種類があります。
詳しくは、以下の関連記事をご覧ください。
関連記事:株主総会とは?種類や決議事項、開催時期・流れをわかりやすく解説
株主総会議事録は、会社法第318条に基づき「定時株主総会」や「臨時株主総会」といった種別に関わらず作成する義務があります。書面または電磁的記録で作成しましょう。
作成後は本店に10年間、支店に写しを5年間保管し、株主や債権者の閲覧・謄写の請求に応じなくてはなりません。登記・税務調査などで提出を求められる可能性もあるでしょう。
株主総会議事録には、会社法施行規則第72条に基づき、必ず記載すべき事項が詳細に定められています。
具体的な内容は、以下のとおりです。
株主総会の日時・開催場所
議事の経過の要領・決議内容
会社法規定の発言や意見
出席した取締役などの氏名・名称
株主総会議長の氏名
株主総会議事録を作成した取締役氏名
上記以外の記載事項
上記の記載事項について、それぞれ見ていきましょう。
株主総会議事録には、総会が開催された具体的な日時と場所の記載が必須です。
会社法では、現地以外からの参加(オンライン会議など)も認められています。取締役や監査役といった経営層だけでなく、株主が現地以外から参加することも可能です。ただし、参加方法についても、議事録に明記することが会社法施行規則により定められています。
株主総会はいつ行われるのかについては、関連記事をご参照ください。
関連記事:株主総会はいつが多い?開催日の決め方や遅れた場合、事前準備について解説
株主総会議事録には「議事の経過の要領及びその結果」として、報告事項、質疑応答、審議、採決などの要点を明確に記載する必要があります。
全ての詳細な発言は不要ですが、議案ごとの要点と結果がわかるようにすることが必要です。記載方法は、審議方式(「個別上程・個別審議方式」と「一括上程・一括審議方式」)によって異なるため注意しましょう。
株主総会議事録には、会社法施行規則第72条第3項で定められた特定の意見や発言内容を記載しなくてはいけません。
たとえば以下のような意見が該当します。
監査役の報酬についての、監査役の意見
会計参与による、会計参与の報酬などに関係する意見
監査役や会計参与などによる、選任、解任、辞任に関係する意見
会計監査人による、株主総会に出席した会計監査人が述べた意見
監査役(監査範囲は会計に限定)の、議案や書類などに関係する調査結果の報告
記載すべき会社法規定の発言や意見の判断が難しい場合は、弁護士へ相談するのがおすすめです。
株主総会に出席した取締役、執行役、監査役、会計参与、会計監査人全員の氏名・名称を記載しましょう。
株主総会に出席した株主については、氏名の記載は不要です。人数のみの記載で構いません。
株主総会での議長の選任については会社法で定められていませんが、一般的には代表取締役や社長が務めることが多いでしょう。
株主総会を行う際に議長を立てた場合は、議長の氏名を株主総会議事録に記載してください。
また、議長を誰が務めるかについては、定款に記載しておきましょう。
株主総会議事録には、議事録作成に関わった取締役の氏名を記載します。
一般的には、株主総会が開催されるときの取締役です。それをふまえ、作成に関わった取締役や代表取締役について、株主総会議事録に氏名を記載してください。
先述したとおり、会社法施行規則で定められた記載事項については、株主総会議事録への記載が求められています。しかし、それ以外の事項については、任意の記載が可能です。
たとえば、以下のような事項です。
株式総数
発行済株式数
議決権を有する株主数
総議決権
出席株主数・その有する議決権数
必要に応じて、任意の記載事項を記載しておきましょう。

株主総会議事録は、本店移転や役員変更などの変更登記を申請する際にも必要です。登記申請に必要な議事録のひな形や記入例は、法務局のホームページでダウンロードできます。申請する登記の種類に応じて、ひな形を参考に作成を進めましょう。[参考1]

本章では、株主総会議事録の書き方について、項目ごとに簡単に解説します。
開催日時や場所の記載
株主や株式の情報
出席した取締役の記載
議事の経過の要領・決議内容の記載
具体的な記載例もありますので、参考にしてみてください。[参考1]
株主総会議事録では、株主総会の開催日時や場所を記載しなくてはいけません。記載例を見ていきましょう。
【記載例1】
開催日時:2026(令和8)年5月15日 14時00分~16時00分 |
【記載例2】
2026年(令和8年)5月15日14時から、当会社が所有する〇〇の☓☓ホールにおいて定時株主総会を開催した。 |
記載方法に決まりはなく、【記載例2】のように、文章で記載しても問題ありません。記載する場所については、株主総会議事録の上部が一般的です。
株主や株式の情報などは、会社法施行規則に定められた株主総会議事録の記載事項ではなく、任意の記載事項です。
任意とはいえ、株主総会の開催時の株式総数や発行済の株式総数、出席した株主の人数などの情報がわかるため、記載するケースが多いでしょう。
記載例は以下のとおりです。
【記載例1】
当会社の発行可能株式総数:15,000株 |
【記載例2】
発行済株式総数:15,000株(うち自己株式総数は500株) |
出席株主の数は、委任状を通じて権利を行使した株主やその議決権の総数です。現地以外からの参加があった場合は、その参加方法(オンラインなど)も併せて記載しましょう。
株主総会議事録には、総会に出席した取締役や監査役などの役員の氏名(または名称)を記載することが義務付けられています。さらに、議事録の作成責任者となる取締役の氏名や、議長を務めた者の氏名についても明記が求められています。
したがって、誰が議長であり、誰が議事録作成者であるかを明確に記載しなくてはいけません。
【記載例】
出席取締役:〇〇 朝子(議長兼議事録作成者)、☓☓ 健太、△△ 明美 |
経過については、会議の要点のみを簡潔に示し、決議事項については、議案ごとの結果を明確に記載しましょう。
【記載例】
総株主の議決権の過半数に値する株式を保有する株主の出席が確認されたため、本総会は適法に成立した。 |
株主から意見があった場合の記載例は以下です。
【記載例】
「議長は〇〇を報告したが、〇〇に対して株主から△△旨の質問があった。議長が☓☓☓旨を回答した。 」 |
株主総会議事録を作成するときのポイントには、以下の3つが挙げられます。
議長や議事録作成者は一般的に押印する
株主総会議事録は電子化しても問題ない
株主総会議事録は10年間保管する
各ポイントを簡単に解説していきます。
株主総会議事録を作成する際は、議長や議事録作成者は一般的に押印しますが、出席した取締役などは押印を義務付けられてはいません。
ただし、押印しなくてはならないケースもあるので注意しましょう。
たとえば、議事録の作成にあたって、出席した取締役などが押印する旨を定款で定められている場合です。また、取締役会がない会社において、代表取締役選定を決議するときも押印しなくてはいけません。
株主総会議事録は、会社法第318条に基づき、本店で10年間の保存が義務付けられています。支店での写しの備え置きは5年間ですが、電子データで閲覧可能にしていれば不要です。[参考2]

株主総会議事録の作成や保管義務を怠った場合、任務を怠った取締役、執行役などに過料(100万円以下)が科されるケースもあるため、注意しましょう。
株主総会議事録は、たとえ法律上の保管期間(10年間)が過ぎたとしても、破棄せず永久に保存しておくことが望ましいです。これは、将来的に議事の内容に関して訴訟が発生した場合に、証拠資料として裁判所に提出するケースがあり得るためです。
株主総会議事録は、会社法や会社法施行規則に厳密に則って作成・保管する義務があります。本店で10年間、支店では5年間の保管が必要です。
また、株主総会議事録には、必ず記載すべき事項が定められています。株主総会の日時・開催場所、議事の経過の要領・決議内容、会社法規定の発言や意見などの記載を忘れないようにしましょう。
株主総会議事録の作成や保管義務を怠った場合、100万円以下の過料が科されることもあります。記載事項の正確性や、法改正への対応が重要ですが、担当者にとって大きな負担となるでしょう。
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本記事の記述は一時的情報であり、特定の事案への法的助言を行うものではありません。
参考1:添付書面の記載例|法務局
吉田 修平
株式会社Legalscape コーポレート本部法務 Legal Counsel / 弁護士
2017年に弁護士登録後、インハウスローヤーに転身。金融機関で銀行法務・新規事業開発に携わり、WeWork Japan にてビジネス法務・コンプライアンス体制構築を主導。2024年3月Legalscapeに入社。法務コンプライアンスの知見をプロダクト開発に活かし、リーガルイノベーションの最前線を支える。
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