トップ

/

お役立ちコラム

/

コンプライアンス

/

インサイダー取引はなぜバレる?仕組みや調査方法、該当例を解説

インサイダー取引はなぜバレる?仕組みや調査方法、該当例を解説

公開日:2026年03月03日

/

更新日:2026年03月03日

    インサイダー取引とは、上場会社等の内部関係者から得た未公表の重要情報をもとに、不正に株式などを売買することです。

    証券取引等監視委員会による取引審査では、令和6年度における実施件数982件のうち、957件がインサイダー取引に該当するものでした。勧告件数もインサイダー取引が最も多い件数を占めています(全14件12件)。[参考1]

    本記事では、インサイダー取引が発覚する理由や調査方法を解説します。インサイダー取引に該当する事例も載せていますので、理解を深めるのにお役立てください。

    1.インサイダー取引はなぜバレる?理由と調査方法

    インサイダー取引とは、上場企業の内部者などが公にされていない重要情報を先取りし、その情報をもとに株式を売買して利益や損失回避を図る行為を指します。市場の公正さを損なうため、金融商品取引法第166条にて禁止されています。[参考2]

    インサイダー取引が成立する要件は、主に以下のとおりです。

    • 主体: 上場会社の「会社関係者」(役員・従業員、契約締結者など)や「第一次情報受領者」(会社関係者から重要事実の伝達を受けた者)であること

    • 情報の入手: 職務等に関して、上場会社の運営、業務または財産に関する「重要事実」を知ること

    • 行為: その重要事実が「公表」される前に、当該上場会社の株式等の「売買等」を行うこと

    なお、インサイダー取引は利益を得る目的や動機の有無を問わず成立する「形式犯」とされています。したがって、内部者として知った重要事実を利用して儲けようという意図がなくても、あるいは結果的に損失が出た場合でも、法令の定める要件に該当する取引を行えば規制対象となります。

    不正な取引は秘密裏に行われるものではあるものの、実際には以下の調査・告発によって発覚するケースが多いでしょう。[参考1]

    インサイダー取引の詳しい意味については、以下の記事もご参照ください。

    関連記事:インサイダー取引とは?規制対象者・該当行為・違反時の罰則を解説

    1-1.日本証券取引所自主規制法人による監視と調査

    東京証券取引所など各取引所で実施される売買を常にチェック・分析する法人として、日本証券取引所自主規制法人があります。

    ここでは「売買審査」と呼ばれる審査が行われており、重要事実の発表前後で株価や売買高に不自然な動きが見られる銘柄について、専用システムが自動で抽出しています。

    その後は注文を出した投資家の属性、売買のタイミング、証券会社の委託データなどを入念に照合・分析し、内部情報の利用が特に疑われる取引のすべてを証券取引等監視委員会に報告する仕組みです。

    システムによる迅速な検知と人の目による詳細な分析を組み合わせ、監視体制を整えています。

    1-2.内部告発

    売買審査による監視・抽出をすり抜けたとしても「内部告発」によって明るみに出るケースは少なくありません。

    証券取引等監視委員会には、不正を疑う情報を受け付ける専用窓口が設けられています。窓口には、電話・オンラインフォーム・投書など複数の方法が設けられており、匿名での通報が可能です。実際、毎年多くの情報が寄せられ、一部は詳細な審査につながっています。

    また、企業が独自に導入している内部通報制度も重要です。社内の人間だからこそ気付ける不自然な売買や情報の流れについて、告発制度を通して外部に知らせる役割を担っています。

    このように、インサイダー取引は市場監視や内部告発など多角的な方法で発覚する仕組みであるため、怪しい取引は疑いがかけられやすく、問題視される可能性も高い環境であるといえるでしょう。

    2.インサイダー取引に該当する例

    では、具体的にはどのような取引を行うとインサイダー取引だと判断されるのでしょうか。

    よくあるケースを紹介します。

    2-1.自社の重要事実を漏洩し、その相手が株式を売買した

    未公開情報を同僚や知人に漏らし、その人物が株式を売買した場合が当てはまるでしょう。情報を渡した側は「重要事実の伝達」、取引をした側は「第一次情報受領者」として処罰の対象となります。

    また、従業員が利用する持株会にも注意が必要です。持株会での定期買付はインサイダー取引に当たらないものの、公表前の重要事実を把握した状態で株式を引き出し売却すれば違法となります。

    伝達相手が社内の人間であっても、また持株会にかかる取引であっても、インサイダー取引だと判断されるケースがあることを理解しておきましょう。

    2-2.他社の重要事実をもとに株式を売買した

    他社に関する未公開情報をもとに株式を売買した場合も、インサイダー取引に該当します。

    たとえば、業務提携の交渉に関わる取引先担当者が、交渉中に得た重要事実を手掛かりに提携予定企業の株式を買う行為が典型例です。

    また、取引先の経営悪化(重要事実に該当する場合)を知った従業員が、その影響で自社株も下落すると判断し、保有株を先回りして売却したケースも同様に当てはまります。

    2-3.家族や親戚などに重要事実を漏洩し、それらが株式を売買した

    インサイダー取引の対象者は、企業関係者だけでなく、関係者の家族や親族も含まれる点が大きな特徴です。役員や従業員が未公表の重要事実を家族に漏らし、その家族が受け取った情報に基づいて株を売買すれば、情報を伝達した側、情報を受領した側の双方が規制違反として扱われる可能性があります。

    また、利益の有無は関係ありません。情報をもとに購入した株式をまだ売却していない、もしくは損失が出た場合でも、公表前の重要事実を使って取引した時点で違法行為として判断されます。

    利益の有無にかかわらず、内部情報を身近な相手に伝える行為は重大なリスクとなることを理解しておきましょう。

    2-4.重要事実を知りながら意図せずに株式を売買した(うっかりインサイダー)

    インサイダー取引規制は、情報を利用して利益を得ようとする動機や目的の有無を問わない「形式犯」としての特徴を持つため、未公表の重要事実を知って株式等を売買すれば、たとえ不注意であっても形式的にはインサイダー取引に該当します。

    また、インサイダー取引規制の規定は複雑であり、金融商品取引法だけでなく政令等の下位規範も確認する必要があるため、本人が気づかないうちにインサイダー取引を行ってしまうことがあります。

    いわゆる「うっかりインサイダー」と呼ばれるもので、規制を知らなかったとしても違反であることに変わりありません。

    うっかりを避けるために、関係企業の情報に触れる機会が多い弁護士や専門家などは、関連企業の株式を一切保有しない対応を取ることも珍しくありません。

    意図しない取引であっても未公開情報を利用した時点で違法となるため、注意しましょう。

    3.インサイダー取引が発覚した場合の罰則

    インサイダー取引が発覚すると、未公表情報を利用して取引した本人だけでなく、他人に利益を得させるなどの目的で情報を漏らした関係者も同様に罰則の対象です。

    金融商品取引法(第197条の2)にて「5年以下の懲役」「500万円以下の罰金」またはその両方が刑事罰として科せられます。[参考3]告発が見送られた場合でも、違法取引で得た利益相当額については、金融庁により課徴金納付命令が出されることがあります。

    個人ではなく企業として関与した場合には両罰規定(金融商品取引法第207条)が適用され、最大5億円の罰金が科される可能性もあります。[参考4]

    罰則に関する流れとしては、証券取引等監視委員会が検察庁に告発し、刑事事件として裁判で有罪が確定すると上記の刑罰が実行される仕組みです。

    そして法的な罰則だけでなく、社会的信用低下による再就職機会の損失や取引停止なども招く点に注意が必要です。個人や企業の将来を大きく揺るがす違法行為であることを改めて理解しておきましょう。

    4.インサイダー取引を防ぐために「Legalscape」で金融商品取引法の理解を深めよう!

    インサイダー取引は、上場会社等の未公表の重要情報を知り得る立場にある人全員にリスクがあるもので、悪質な意図の有無にかかわらず、関係者全員が罰則の対象となり得る取引です。利益を出すための行為でなかったとしても、刑事罰を科される可能性がある点に留意し、適切な情報管理・取引を行いましょう。

    インサイダー取引を防ぐためには、社内規定を見直し、正しく運用できる内容に変更するのも有効な手段です。

    Legalscape(リーガルスケープ)は、金融商品取引法・会社法など参考にすべき法情報をすぐに抽出・理解できるAIサービスです。業界最大級の書籍・判例・法令・ガイドラインを網羅しており、要約や引用元の文献や法令も瞬時に提示します。過去の検索結果をまとめておけるため、社内共有もスムーズです。

    透明性のある運用取引を促すためにも、Legalscapeによる法令チェックをご検討ください。

    本記事に記載の情報は一般的情報であり、特定の事案への法的助言ではありません。

    参考1:令和6(2024)年度 証券取引等監視委員会の活動状況 |証券取引等監視委員会

    参考2:金融商品取引法 第166条 | e-Gov 法令検索

    参考3:金融商品取引法 第197条の2 | e-Gov 法令検索

    参考4:金融商品取引法 第207条 | e-Gov 法令検索

    監修者

    吉田 修平

    株式会社Legalscape コーポレート本部法務 Legal Counsel / 弁護士

    2017年に弁護士登録後、インハウスローヤーに転身。金融機関で銀行法務・新規事業開発に携わり、WeWork Japan にてビジネス法務・コンプライアンス体制構築を主導。2024年3月Legalscapeに入社。法務コンプライアンスの知見をプロダクト開発に活かし、リーガルイノベーションの最前線を支える。

    この記事をシェア

    まずはお試しください!

    業務効率化への第一歩、
    体験してみませんか?

    今すぐ無料で使う

    お問い合わせはこちら

    プロダクトの資料や機能のご質問など
    ぜひお気軽にお問い合わせください

    資料請求・お問い合わせ